黒岩の眼

DMP(3652)~16/8/10執筆

「ホームレス」は家がない人。「メイクレス」はメイクしていないように見せる人。それでは「ファブレス」は?――答え。工場を持たない会社のことである。

我々は、「〇〇レス」という言葉をよく耳にする。まさに「〇〇がない」という意味だが、会社のなかには、自社工場を持たないで、設計や開発だけを手掛けている企業がある。それを「ファブレス企業」と呼ぶ。DMPもその会社のひとつだ。

DMPの正式名称は「デジタル・メディア・プロフェッショナル」。ちょっと、長ったらしい名前だが、スゴイ技術を持っている。それは、我々がスマホやゲームなどで見かけるあの極め細やかで素早い映像である。

最近この企業がちょっと話題になった。それは、従来製品よりも性能が約6倍向上した画像処理の設計手法の提供を開始したからだ。まどろっこしい言い方になってしまったが、要は、映像がより美しく、速く、省電力で表示させる技術を開発したということである。もちろん、この会社は「ファブレス」であるため、実際にこういったモノを作ることはしない。あくまでも設計図を提供するのがお仕事。実際に、携帯電話やゲーム会社などのメーカーに採用されれば、そこからロイヤリティー収入が発生する仕組みだ。

そこで思い出すのが、先日、ソフトバンク(9984)が買収した英ARMという会社。この会社はまさに半導体ファブレス企業であり、同社の設計図が多くのスマホやゲームのCPU(中央演算処理装置)で採用されている。ある意味、寡占状態となっており、そこに孫さんが目を付けたというわけだ。将来、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、スマートロボットなどの時代になれば、必ずキーを握る会社になると・・・。だから、3.3兆円もの巨額資金を投じたのである。

なので、見方を変えれば、DMPは、「日本版ARM」という話になる。インテルやマイクロソフトのように決して表に出ることはないが、裏で「設計図」という重要なポストを握っている。もし、孫さんが、この優秀な企業の存在に気づけば、「ついでにDMPも買っとけ」という話になっても何ら不思議ではない。時価総額はたった70億円。決して「マネーレス」とは言わせない・・・。


光陽社(7946)~16/8/9執筆

「PER2.6倍」――株式投資を少しでもかじったことのある人ならば、この数値がいかに異常であるか、分かるというものだろう。通常の銘柄のPERは15倍から18倍程度。成長期待の高い新興株ならば、40倍とか50倍とかまでは許容できる。

PERは、日本語に訳せば株価収益率。計算式は、「株価÷1株当たり利益」である。通常、この1株当たり利益は「予想ベース」を使う。なので、今期の最終利益が大きければ、PERは相対的に低くなる。低ければ低いほど「割安」という評価になる。

光陽社は、オフセット印刷用写真製版の大手。「オフセット」とは、実際に版と紙が直接触れない印刷手法。版に付けられたインキを、ゴム板などの中間体に転写(オフセット)し、そのあと紙に印刷する。

同社が注目されたのは、いわゆる「天皇生前退位」関連銘柄だからだ。もし、元号が変わるとなると、どうしても注目されるのは印刷物の変更。1989年に「昭和」から「平成」に変わったとき、印刷関連銘柄が大賑わいとなった。その連想が働いたのだ。

もちろん、元号が変わるくらいで、業績が急回復するような「特需」が発生するわけはない。最近では電子メディアが普及しており、印刷物はむしろ押され気味となっている。過度な期待は禁物ということだ。

ただ、同社は高品質の印刷に強みを持っている。通常の印刷はインクが「ドット(点)」で落とされるのに対して、同社の「The Favorite」という技術は、インクが「二重丸」で落ちる。より鮮やかで高品位な印刷が可能となっている。高品質で鮮やかな印刷においては、業界でも一目置かれているのだ。

そうそう、同社のPERがなぜ2倍台なのか。それは5月に不動産を売却して特別利益が発生したからだ。なので、今3月期の1株当たり利益が58円に水増しされて、予想PERが2倍台という「珍事」が起きている。表面上は「超割安」に映るため、株価の下落局面では「押し目買い」が入りやすい。投資家たちが機械的に「下値不安が乏しい」と判断してしまうからである。だから、安値を拾っておけば、コトあるごとに、また誰かが「印刷関連」としてハヤし立ててくれる。株価が噴いたときに、しっかりと売り抜けておけば良いのだ。


エイチワン(5989)~16/8/8執筆

「右折時は歩行者に注意しなさい」――昔、教習所でこんなことを教えられた。理由は、右折時は対向車に気をひかれて、ついつい歩行者を見落としがちになるから。もう一つの理由は、車の内部から見ると、左よりも右のほうが、視界が悪いからである。なぜならば、邪魔な「フロントピラー」が存在しており、特に右側が見づらくなっているのである。

「フロントピラー」とは、車の前面ガラスの両サイドに付いているあの柱のことだ。右ハンドルの場合、運転者との距離が近い分だけ、どうしても視界を遮ってしまう。なので、右折のときは、「特に注意」というわけだ。

先日、エイチワンは、「3次元熱間曲げ角型鋼管によるフロントピラーを新開発」と発表した。長ったらしい名前で舌を噛みそうだが、要はこういうこと。「3次元」とは「立体的に」、「熱間曲げ」とは「高い温度で曲げる」ということ、「角型鋼管」とは、「断面図が四角いパイプ状の鉄」ということである。つまり、同社は、強度があって軽量なフロントピラーを、前述の画期的な方法で量産する技術を開発したということになる。なぜ、これがスゴイのかというと、最近では、衝突安全性や燃費向上の観点から、車ボディの強度化・軽量化が求められている。中が空洞である鋼管を特殊技術によって「焼き」を入れることによって、軽くて丈夫な車ボディの骨格部品が出来上がるというわけなのだ。視界を遮らない細くて丈夫なフロントピラーが完成すれば、それなりの需要が見込めるというわけである。

そして、この技術を使えば、フロントピラーだけに留まらず、他の部位にも応用が利くかもしれない。さらに、営業努力次第では、各自動車メーカーへの供給もあり得るだろう。エイチワンはホンダ系の会社なので、その販売先のほとんどがホンダ系。しかし、国内では大半の自動車メーカーと、多少なりとも付き合いがあり、場合によってはトヨタ・日産系への供給も可能かもしれない。「次世代のボディ骨格は炭素繊維」と言われる今、この炭素繊維が高価で実現性が乏しいうちに、「幕間つなぎ的」にシェアが伸びる可能性がある。あとは、轢かれても痛くも痒くもない車ができれば理想なのだが・・・。


安川情報システム(2354)~16/8/4執筆

さて問題です。「卵」と「玉子」の違いは何でしょうか?

正解は、卵の形をとどめているのが「卵」で、とどめていないのが「玉子」。なので、そのままである「生卵」は「卵」で、料理した「玉子焼き」「玉子丼」は「玉子」となるのです。ちなみに、のび太のお母さんの名前は「玉子(たまこ)」。まったく関係ありませんが・・・。

という風に、言葉の意味というのは、知っているようで知らないことが多い。最近の株式市場でも、キーワードになる言葉が氾濫。投資家たちは結構、勘違いして理解していることも多いようです。

安川情報システムは、「IoT」「M2M」関連銘柄。「IoT」は日本語に訳せば、「モノのインターネット」。様々なモノがインターネットに接続し、情報交換することによってお互いを制御する。一方、「M2M」は「機械から機械へ」という意味。機械と機械が勝手に通信しあって自律的に制御する。似ているけど、ちょっと意味合いが違うのだ。「IoT」が人・機械を含めたオープンな世界だとすると、「M2M」は機械同士のクローズな世界。まあ、多少間違えたところで、投資にはほとんど影響がないと思われるが・・・。ただ、この2つのキーワードを持っているという意味は非常に大きい。なので、同社は「株式市場の有望株」と位置付けられるのだ。

そのようななか、同社は先日、ちょっと大胆な中期経営計画を発表した。3年後の193月期の売上高を4割アップ、利益を10億円確保するとしたのだ。前期、大赤字だったにも関わらずだ。なので、投資家はちょっとびっくりした。比較的高い目標数値が出てきたので、素直に喜んだのである。

そもそも同社は、産業用ロボットが得意の安川電機(6506)の持分法適用会社。三井物産(8031)とも資本提携しており、そういった意味で安心感が強い。大企業がバックについているから、「食いっぱぐれはないだろう」と考えられるのだ。

投資家は常に将来性のある銘柄を買いたいと考えている。同社は「IoT」「M2M」関連であるのはもちろんのこと、「AI」「クラウド」「ビックデータ」関連でもある。投資家たちを飽きさせない「材料株」であり、ことあるごとに物色されることになりそうだ。


フリークアウト(6094)~16/8/3執筆

「ヤバイ!自分は完全に監視されている!」――なぜ、そう思ったのか。それは、ブログやHPを見るたびに、自分が興味ありそうな広告が、次々と飛び出してくるからである。私の場合、本業が株式、趣味が将棋・そば、温泉なので、それに関する広告が次々と表示される。「あ~、私は完全にネットに支配されている」「趣味とか嗜好とか、世間に筒抜けだ」と・・・。

最近のネット広告はかなり進化している。従来型の「固定広告」ではなく、ちゃかちゃかと内容が変化する「変動広告」が増えてきている。「羽生さんの将棋の本はいかがですか」「箱根の老舗温泉旅館が格安ですよ」とか、あたかも私のことを知っているかのごとく、執拗に広告してくる。「なんで、バレてしまったのか?」それは私が、それに関するページをクリックしたからである。そういったデータが、ある場所に蓄積・分析され、広告主に売り渡されている。それで儲けているのが、フリークアウトなのである。

フリークアウトの本業は、「DSP事業」である。簡単に言ってしまえば、「広告支援ツールの提供」である。「適切な人に、適切な時、適切なモノを広告する」をモットーに、「広告効果の最大化」を目指している。だから、広告が目まぐるしく変わるのである。広告主がほぼリアルタイムで、その広告枠を競争入札しているのだ。顧客(見込み客)の属性をより細分化することで、広告主のニーズに的確に応えている。なので「40代、男性、将棋」などという個人データが蓄積されて、すぐさま「羽生の終盤術」なんて本が宣伝されてしまうのである。

でも、ネット広告はこのレベルで留まるわけではない。近未来的にはGPSを使った位置情報をもとに、より進化することが予想される。ある場所に行けば、自動的に美味しいレストランやラーメン屋などを案内してくれる。「こんなメニューはいかがですか。割引券があります」などとなるのだ。「食後は50m先のお店でパフェでもどうぞ!」的な感じに・・・。

もちろん、今、話題のポケモン的ゲームと連動することも考えられるだろう。ピカチュウを捕まえにいったら、「抱き合わせ」で何か買わされるなんていうビジネスモデルが成立かもしれない。くれぐれも、作者不明の怪しげな絵画だけは買わないようにしたい。