黒岩の眼

光陽社(7946)~16/8/9執筆

「PER2.6倍」――株式投資を少しでもかじったことのある人ならば、この数値がいかに異常であるか、分かるというものだろう。通常の銘柄のPERは15倍から18倍程度。成長期待の高い新興株ならば、40倍とか50倍とかまでは許容できる。

PERは、日本語に訳せば株価収益率。計算式は、「株価÷1株当たり利益」である。通常、この1株当たり利益は「予想ベース」を使う。なので、今期の最終利益が大きければ、PERは相対的に低くなる。低ければ低いほど「割安」という評価になる。

光陽社は、オフセット印刷用写真製版の大手。「オフセット」とは、実際に版と紙が直接触れない印刷手法。版に付けられたインキを、ゴム板などの中間体に転写(オフセット)し、そのあと紙に印刷する。

同社が注目されたのは、いわゆる「天皇生前退位」関連銘柄だからだ。もし、元号が変わるとなると、どうしても注目されるのは印刷物の変更。1989年に「昭和」から「平成」に変わったとき、印刷関連銘柄が大賑わいとなった。その連想が働いたのだ。

もちろん、元号が変わるくらいで、業績が急回復するような「特需」が発生するわけはない。最近では電子メディアが普及しており、印刷物はむしろ押され気味となっている。過度な期待は禁物ということだ。

ただ、同社は高品質の印刷に強みを持っている。通常の印刷はインクが「ドット(点)」で落とされるのに対して、同社の「The Favorite」という技術は、インクが「二重丸」で落ちる。より鮮やかで高品位な印刷が可能となっている。高品質で鮮やかな印刷においては、業界でも一目置かれているのだ。

そうそう、同社のPERがなぜ2倍台なのか。それは5月に不動産を売却して特別利益が発生したからだ。なので、今3月期の1株当たり利益が58円に水増しされて、予想PERが2倍台という「珍事」が起きている。表面上は「超割安」に映るため、株価の下落局面では「押し目買い」が入りやすい。投資家たちが機械的に「下値不安が乏しい」と判断してしまうからである。だから、安値を拾っておけば、コトあるごとに、また誰かが「印刷関連」としてハヤし立ててくれる。株価が噴いたときに、しっかりと売り抜けておけば良いのだ。